実践事例
実践事例中学校でコグトレに取り組む意義
当初は書籍教材のコグトレを実施していたそうですが、2024年度からコグトレオンラインに切り替えました。
同校でコグトレの活用を中心となって進めている小林伸匡先生に、コグトレを導入した背景や、中学校でコグトレを行う意義について、お聞きしました。

小林 伸匡先生
書籍教材のコグトレで子どもたちの変化を実感
全校での導入が進む中、効果を実感しつつも、課題も感じていたといいます。
「書籍教材を使う中で、コグトレの必要性や有効性については実感できていました。しかし、用紙の準備など事前準備が必要で、そのことが先生方の負担になっていました」。それらの負担を少しでも軽くしようと、2024年度からWebアプリであるコグトレオンラインに切り替えたそうです。
学級の雰囲気づくりにも一役 活用のポイントは「生徒への声掛け」
コグトレオンラインを使用する上でのポイントは「子どもたちへの声掛け」。
「子どもたちの中には、なかなかトレーニングに集中できない子どももいます。ただ、集中力が続かない子どもも、やり始めれば集中できる場合が多いので、最初の一歩を促すための声掛けを大事にしています」。
このような取り組みを続ける中で、小林先生は特に集中力や聞く力が向上したように感じているそうです。
また、朝学習の時間に取り組むことで、1時間目の授業への切り替えがスムーズになる効果も見られました。「学習へのよい雰囲気づくりにつながっています」と小林先生は評価していました。
より個別最適なトレーニングの配信を目指して

「これまでは、子ども一人ひとりのコグトレオンラインの過去と現在の記録を比較し、その成長を見取っていました」と小林先生は話しました。
一方、今後の課題として、小林先生は「コグトレオンラインmanager( 教師用web サイト)」の活用が十分に進んでいない点を挙げています。「生徒がどのぐらい取り組んだかという量の部分はある程度見取れているのですが、他の生徒と比べて弱点となる分野や得意な分野を具体的に見取るには課題が残っています。そういった深いところまで取り組めたらよいですね」と小林先生。そのような考えもあり、今後はコグトレオンラインの履歴をクラス内で共有する計画も進めているとのことです。「友だちと結果を共有したり、自分の結果を知ってもらうことは、子ども自身の励みになるのではないかと考えています」とのことでした。

「これまでは、子ども一人ひとりのコグトレオンラインの過去と現在の記録を比較し、その成長を見取っていました」と小林先生は話しました。
どの年齢の子どもにも学ぶスキルを身に付けるきっかけを
「人の話を聞くことや、その話を聞いてどのように行動するかということは、これまでは日常生活の中でおのずと身に付いてきたものでした。ただ最近は、そういったことを経験する場が少なくなってきているのではないかと感じます」と、小林先生は近年の子どもたちの様子について話します。
「これまでの子どもたちが小学校段階で習得していたスキルが、中学校に進んでもできていない子どもが増えてきていると感じています」と小林先生。そんな子どもたちに対する手立てとして、コグトレが有効だと感じています。
「中学校段階の生徒だけでなく、高校生の中にも、今まで当たり前にできると考えられていたことができていない子どもたちがいます。その困難の背景にあるものが発達障害なのか、経験不足なのかは、専門家でないと分かりません。しかし、校種や学年にかかわらず、学校での学びのどこかのタイミングで、このようなスキルを身に付けるきっかけを子どもたちに与えたい。コグトレはそのチャンスの一つになると考えています」。
子どもたちが感じる困難さは、時代の流れや社会の変化によって変わります。学校がその変化に柔軟に対応し、すべての子どもの学びを保障すること。桜川中学校ではその一助としてコグトレオンラインを活用しているようです。